島根県立松江北高等学校東大見学出前授業

島根県立松江北高等学校東大見学出前授業

日時2015/10/8
場所東京大学本郷キャンパス
対象島根県立松江北高等学校理数科2年40名および教員4名
担当者尾上、谷口

概要

研修旅行の一貫として東京大学本郷キャンパスの見学に来た島根県立松江北高等学校理数科2年生の生徒達に授業を行いました。

講義名:「すばる望遠鏡で探る100億年前の宇宙」

講師: 尾上 匡房 (総合研究大学院大学)

授業では、まずはじめに、東京大学の話題を中心に大学生の学生生活がどのようなものかについて紹介しました。東京大学の1年生から4年生までの授業内容の紹介や、東京大学理学部の学生の卒業後の進路について等を紹介し、理学部学生の卒業後の大学院進学率の高さには驚きの声も上がっていました。

続いて、天体望遠鏡を用いた天体観測の歴史や、日本の国立天文台が運用する世界最先端の望遠鏡である「すばる望遠鏡」について紹介しました。「すばる望遠鏡」は講師が普段の研究生活において使用している望遠鏡でもあります。講師が現地で撮影した写真等も見せながら、「すばる望遠鏡」の性能の高さ等についての説明を行いました。

講義風景
講義風景

一旦休憩を挟んだ後、後半の授業では講師の専門である初期宇宙(生まれたばかりの宇宙)について、簡単な実習も合わせながら解説をしました。

宇宙の始まりは現在から約138億年前と言われており、初期宇宙がどのような様子であったかを調べることは現代の天文学の重要なテーマとなっています。そして、遠い昔の宇宙を調べるために役立つ天体がブラックホールです。ブラックホールと聞くとSF染みたものに感じられるかもしれませんが、現在の天文学では、ほぼ全ての銀河の中心に太陽の100万倍から10億倍もの質量を持つ巨大なブラックホールが存在していると考えられています。そして、このような銀河中心に存在しているブラックホールの周囲では、外から落ち込んできた物質がブラックホールに吸い込まれる過程でX線や紫外線といったエネルギーの高い光を大量に出すために非常に明るく輝くことが知られています。 このため現代の観測天文学では、超巨大ブラックホールを「初期宇宙の灯台」として用いることで100億年以上も先の遠い過去の宇宙の様子を調べることができるのです。

実習では、実際に「すばる望遠鏡」が長い時間をかけて撮影した画像の中から、生徒達に128.8億年前の銀河を探しだしてもらいました。講師の「大きさと色をよく見てみよう!」というヒントをもとに、半数ほどの生徒達が正解の128.8億年前の銀河を正しく見つけることができていました。答え合わせの後には遠い銀河は「大きさが小さく」「色が赤くなっている」ということについて解説し、答えの銀河を見つけられなかった生徒達も納得し感心していた様子でした。

実習風景
実習風景

今回の授業を通じて、多くの生徒から「宇宙の綺麗な画像や映像が見れて楽しかった」、「初期宇宙や超巨大ブラックホールの話が面白かった」といった声が聞かれ、普段耳にすることのない最先端の天文学の話を楽しんで聞いていたようでした。 短い時間でしたが、今回の授業を通して天文学者が解き明かそうとしている100億年前の宇宙の姿について興味を持ち、また今後の大学生活へのイメージを掴んでもらえれば幸いです。

(記: 谷口)