諏訪清陵高校星の教室

諏訪清陵高校星の教室

日時2012/6/16 - 17
場所東京大学木曽観測所
対象諏訪清陵高校2年生SSHコース生徒30名、教員2名
担当者三戸、飯田、藤貫

概要

東京大学木曽観測所にて、諏訪清陵高校2年生が1泊2日の日程で星の教室を行い、宇宙年齢についての実習を行いました。

<1日目>

観測所に到着後、開校式と実習の動機づけや概要の講義を行いました。

その後、105cmシュミット望遠鏡の見学をして、その大きさに興奮して、写真を撮ったり、熱心にスタッフの話を聞いていました。

実習1では、視角から距離を求める方法を学びました。デジタルカメラで班のメンバーを撮影し、その写真から視角を求め距離を計算しました。今回はあいにくの雨で室内での実験になりました。見かけの大きさを角度を使って表すのは、普段の生活の中ではあまりない考え方でしたが、生徒たちの理解も早く、スムーズに進みました。

実習1講義 距離と視覚の関係について学びます
実習1講義 距離と視覚の関係について学びます
実習1 様々な距離に散らばり、写真を撮ります
実習1 様々な距離に散らばり、写真を撮ります

実習1が早く終わり、夕食にはまだ早かったので、先に実習2を行いました。実習2では、実習1で学んだ視角と実際の大きさの関係を応用し、地球から銀河までの距離を求めました。銀河の画像を見て、銀河の大きさをどこまでにするか迷いながらも、計算を進めていきました。特に作業がわからなくなったりということはあまりなく、この実習もスムーズに進んでいきました。

実習2講義 実習1の考え方を用いて、宇宙年齢を求めます
実習2講義 実習1の考え方を用いて、宇宙年齢を求めます

夕食をはさんで実習3を行いました。実習2で求めた地球から銀河までの距離と、データベースにあるそれぞれの銀河の後退速度から、距離-後退速度の図を描き、宇宙の年齢についての考察を行いました。距離と後退速度の図を、どのようにして宇宙の年齢につなげるのか、またなぜ宇宙年齢につなげられるのかを、生徒みんな頭を抱えて悩んでいました。講師が出すヒントを利用して少しずつ話し合いを進めていました。中には実習時間がすぎても話し合いをしている生徒もいました。

<2日目>

2日目は、生徒による発表を実習のまとめを行いました。

まず、昨晩に引き続き宇宙年齢についての考察を深め、班ごとに宇宙年齢に至るまでの考え方をまとめて発表準備を行いました。中には深夜まで議論をしていたため大変そうな生徒もいましたが、班の中で役割分担をして各自が作業にとりかかっている様子が見られました。

皆、身を乗り出して考えています
皆、身を乗り出して考えています

発表では、考え方と結論について各班10分ずつの発表を行いました。各班、よく内容が考察されていて、中には2通りの考え方で宇宙年齢を求めた班もありました。発表の合間には、講師やTAに加え生徒からの質問も出て、「距離‐後退速度図の線をひく考え方は?」「宇宙の中心は?」等々、活発に質疑応答が繰り広げられました。

2日目の発表会 生徒からも質問が飛びます!
2日目の発表会 生徒からも質問が飛びます!

発表終了後は、まとめとして宇宙年齢の求め方について解説の講義が行われました。一晩考えた内容だけに、生徒は皆静かに聞き入っていました。「宇宙の中心について」は、議論の論点になっていた班が多かっただけに関心をひいたようです。また、アインシュタイン等その後の天文学の流れを通して、宇宙年齢だけでなくその先の天文学や物理学に興味を持った生徒も多かったのではないでしょうか。

まとめ

1泊2日の実習を終えて、生徒からは「ひとつの事について、こんなにじっくりと長時間考えたのは初めてだった」「難しかったが、考え続けた結果答えに辿り着いたときは感動した」等々の感想が寄せられました。シュミット望遠鏡の見学と実習を通して、ここでしか得られない体験ができた様子が伝わってきました。

テーマについて時間をかけて論理的に考え、それをまとめ発表した経験、そこからの科学への興味関心をこれからも大切にして欲しいと願っています。

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