諏訪清陵高校星の教室

諏訪清陵高校星の教室

日時2011/6/18 - 19
場所東京大学木曽観測所
対象長野県諏訪清陵高校2年生生徒26名、教員1名
担当者三戸、佐々木、松岡

概要:

東京大学木曽観測所で長野県諏訪清陵高校二年生を対象に星の教室を開催しました。実習では、天体写真を用いて銀河の視角を測定することで地球から銀河までの距離を概算しました。その後、データベースにあるそれぞれの銀河の後退速度と合わせることでハッブルの法則を示し、宇宙の年齢について考察しました。

1日目

開講式の後、天文学の歴史と実習の概要についての講義を行いました。元気のある生徒が多く、質問を交えながら和気あいあいとした雰囲気で行われました。その後、105cmシュミット望遠鏡の見学を行いました。熱心な表情で説明を聞いていたり、望遠鏡に見入って写真を撮っていたりする生徒の姿が見受けられました。

見学の順番決め
見学の順番決め
ドーム内にて
ドーム内にて 

望遠鏡見学後に実習を行いました。実習1では視角、物体の大きさ、距離を関連付け、物体の大きさと視角から距離を求める方法について学びました。具体的にはデジタルカメラで班のメンバーの写真を撮り、その写真を利用して視角を求め、撮影者からメンバーまでの距離を計算しました。講義だけでは理解できないことが多そうでしたが、実験が始まると班内で分からないことを聞きながら興味を持って実習に取り組むことができました。

視角の実験
視角の実験 
質疑応答
質疑応答 
実習1講義風景
実習1講義風景 

夕食後に行った実習2では、実習1で学んだ視角と物体の大きさから距離を求める方法を利用して地球から銀河までの距離を求めました。対象となる距離が地球から銀河までの距離になることで戸惑いを感じている生徒もいましたが、スタッフやTAに質問したり、班内で話し合うことで何とか乗り切ることができました。

実習2講義風景
実習2講義風景 

実習3では、実習2で求めた地球から銀河までの距離とデータベースにあるそれぞれの銀河の後退速度を利用してハッブルの法則を示し、宇宙の年齢について考察しました。ほとんどヒント無しで実習に取り組んでもらったのでなかなか議論が進みませんでしたが、どの班も制限時間ぎりぎりまで真剣に議論をしていました。中には実習後に議論している生徒も見られ、午前3時までしていたという人もいました。

実習3講義風景
実習3講義風景 

2日目

二日目は朝から考察し、発表に向けて準備が進められました。班のメンバー内で議論が活発に交わされ、発表開始時刻を遅くしなければならないほどでした。発表時間中については、他の班の発表内容を聞いて自身の班の内容と比較し、意見を交換する場面が見られるなど、活発な議論が繰り広げられました。各班の発表とも、宇宙の年齢を求めるだけで終わらず、考察が非常に充実していました。具体的に挙げると、宇宙の空間の広がり方や中心の位置の特定方法、また、測定した銀河のサンプルがなぜ後退速度‐距離の直線からズレるのかなどの誤差の起因など、実に様々でした。

発表会
発表会 

発表終了後、観測所スタッフの三戸さんが最後の講義を行いました。そこでは、近年の天文学の発達によって周知されている考えや、ハッブルの時代から宇宙観がどのように変わってきたのかなどを話されました。二日間にかかっての議論と発表体験で、生徒の皆さんには更に天文学に興味を持っていただけたようで、スタッフの方やTAに質問をするなど、熱心な様子がうかがえました。

まとめ

今回の星の教室での体験は、普段の高校生活で味わえるような体験ではないと思います。発表するまでの過程で、想像をふくらませ、未知のことを解き明かそうとしている生徒の皆さんの探求心を垣間見ることができました。この二日間で仲間と考察、議論したことや発表などの体験は、今後の生徒の皆さんの糧となることでしょう。

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