大阪府立天王寺高等学校出前授業

大阪府立天王寺高等学校出前授業

日時2008/12/5
場所大阪府立天王寺高等学校
対象高校1~3年生希望者 計34名
担当者米田、小森

大阪府立天王寺高等学校にお招きいただき、「太陽・地球・惑星、そして宇宙」というテーマで出前授業を行いました。出前授業では、磁場やプラズマに焦点を当てながら、それぞれの惑星で生じる様々な現象を中心に紹介されました。熱心に授業内容に耳を傾けるとともに、授業後に質疑応答が活発に行われるなど、生徒達は宇宙に対し更なる興味関心を持つことができたようです。

以下、今回開講されました出前授業の詳細を紹介いたします。

講座名「太陽・地球・惑星、そして宇宙」

講師: 米田瑞生(東北大学理学研究科付属惑星プラズマ・大気研究センター)

まず冒頭では、講師米田とアシスタント小森の自己紹介を行いました。講師は、関西の生徒達には馴染みが薄いであろう仙台のこと、観測の際に撮った観測地の様子や天の川の写真などを紹介し、生徒を引き込んでいました。また、アシスタントは生徒達と年齢が近いこともあり、主に大学生活全般について簡単に紹介しました。

それぞれの自己紹介を終え、いよいよ講師による授業が始まりました。はじめにとりあげられたのはガリレオ・ガリレイでした。特に強調されたのは、彼が木星の観測から始まり、地動説の証拠を観測的に得て最終的に太陽系の姿を明らかにしたことでした。生徒達はこれによって、太陽系の姿が明らかになっていく経緯とともに太陽系の概要について理解できたようです。

真剣にメモ
真剣にメモ

太陽系の概要のあとは太陽系の主、太陽について簡単な説明がありました。それに関連し太陽風の説明があり、後にこの授業全体の重要な要素となっていくプラズマや磁気圏の説明へと続きました。説明の中では、生徒に前にでてもらい、ローレンツ力により、磁場に対してプラズマがどう運動するかを実際に体験させるといった工夫がされました。今回は自分の目でオーロラを見たことのある生徒はいませんでしたが、太陽と地球の関わり、オーロラ発生のメカニズムを理解することで興味がわいたことでしょう。

プラズマはくるくると
プラズマはくるくると

次に、火星について取り上げられました。説明の中で、火星には磁場がないため、火星大気は太陽風に持ち去られてしまう話がありました。この話は生徒達にとって、地球での磁場の存在の重要性を深く理解するきっかけになったようです。しかしながら続いて紹介された金星には、磁場がありながら大気が存在している。このことは不思議であったに違いありません。この事実は未だに惑星科学最大の謎であり、将来自分が解明してみたいと思った生徒も中にはいたようです。

火星といえば・・・
火星といえば・・・
一方、金星は
一方、金星は

火星、金星のあとはいよいよ木星です。特に木星に関しては講師の研究領域に近いこともあり、より熱がこもっていました。ここでは主に、木星の衛星イオがどのように木星の磁気圏にプラズマを供給し、木星のオーロラ発光の一部を担っているかが詳しく説明されました。

イオがプラズマをどうして供給できるかを考えていく過程では、鉛直投げ上げの計算を結びつけ生徒達と共に考えることが行われました。地球のオーロラ発生の説明で出てきたローレンツ力も含め、生徒達は、高校で行う物理の学習がどのように大学以上の研究に役立つか知るとともに、現在の学習の大切さを再認識できたようでした。

イオの軌道には・・・
イオの軌道には・・・

最後に、講師の現在の研究について簡単な説明と授業のまとめがなされました。さらに、授業終了後には、質疑応答が活発に行われました。授業内容に関連したプラズマや磁力線に関する質問、惑星の輪に関してなど、授業内容以外の質問、講師の研究や研究生活に関する質問など、多岐にわたりました。また、質疑応答時間後も個々に質問に来る生徒もおり、生徒の強い興味と、もっと知りたいという熱意がこちらに強く伝わってきました。このように、今回の出前授業により、生徒達の宇宙や天文学に対する興味をより引き出すことが出来たのではないでしょうか。

質問です!!
質問です!!

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