集合写真

長野県立野沢北高校星の教室

日時2007/9/1 - 2
場所東京大学木曽観測所
対象野沢北高校 36名
担当者三戸

【一日目】

観測所に到着後、木曽観測所スタッフと高校生代表の自己紹介を行いました。明るいクラスだな、というのが第一印象でした。その後、国立天文台研究員の諸隈氏による銀河、宇宙についての講義を行いました。地球が太陽系の一部であること、そして太陽系は銀河系の一部であること、さらに銀河系のような無数の銀河が宇宙に存在することについて高校生たちは学びました。また、最新の天文学研究のトピックスについても話があり、高校生たちは熱心に聞きいっていました。それが終わると、木曽観測所105cmシュミット望遠鏡の見学に行きました。観測所の樽沢氏による望遠鏡と観測装置の説明がありました。観測の様子を実演する際には、ドームが回転したとたん、自分たちが動いているのか、ドームが動いているのかわからない、などといった声が上がっていました。また、望遠鏡の筒先から、1.5mの主鏡に映る自分たちの顔を興味深くのぞき込んでいました。

講義中
講義中
ドーム見学
ドーム見学

いよいよ実習開始です。最終的には宇宙の年齢を求める、という目標にむかうのですが、実習1ではまず最初のステップとして視角という量について学びます。目や写真に写る物の大きさは、長さの単位ではなく角度の単位で測ることを知り、感心している様子がうかがえました。視角の大きさ、距離、物体の実際の大きさ、これらの量が関連することを学んだところで、今度は屋外にでて実際に自分たちで写真を撮り、その検証を行いました。高校生たちは、写真に写った大きさと身長から、距離が求められることを確認していました。

屋外実習
屋外実習

次の実習2では、銀河までの距離を求める作業を行いました。東京大学大学院生の下西氏に、この実習の中心となって取り組んでいただきました。銀河までの距離を求めるには、この前の実習1でやった方法と全く同じ方法を用います。今度は、自分たちの身長の代わりに、銀河の代表的な大きさとして我々の銀河系の大きさを用います。各班15個の銀河について測定を行いました。

最後の実習3ではいよいよ宇宙の年齢を求めます。実習2で求められた銀河までの距離と、実習3の最初にで与えられた銀河の後退速度をもとに考えを進めます。ここでは、多くのヒントは出さず、自分たちの力で考えさせることに主点をおきました。高校生たちは、どうやって考えたらいいのか戸惑いながらも、班内のメンバーと議論を進め、自分たちの考えをまとめていきました。こういった作業は、高校の授業時間ではなかなか持つことが出来ないようで、自分の意見を人に伝えること、人の意見をしっかり聞くことについて、大変苦労している様子でした。

教室にて
教室にて

【二日目】

二日目は発表準備、そして発表を行いました。各班で最終的にまとめられた考えは、どれも興味深く、宇宙の年齢はどのようにしたら求められるのか、また地球を宇宙の中心と考えていいのだろうか、などといった課題に対し、自分たちの考えを熱心に発表していました。そして、最後に三戸による実習課題についての解説があり、生徒は熱心に聞いていました。

終わった後の生徒から聞いた話では、『自分で考え、人に伝え、そしてまとめていくという作業が新鮮だった』、『グループで考えるということが出来て楽しかった』、『宇宙に興味が湧いた』、 などといったことがありました。高校生たちに、天文学の初歩を学ばせることを通じて、自ら考えることの大切さとおもしろさを教えることが出来たと感じました。また、それを伝え、自分の考えを確実なものにする、といったグループ学習の大切さも教えることが出来たと感じました。

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