実習Ⅱ~講義~

星の教室

日時2006/9/2 - 3
場所東京大学木曽観測所
対象伊那北高校の生徒 計 38 名
担当者富田、小森、鳥羽

今回の星の教室には、長野県伊那北高等学校 理数科の1年生の生徒さん33名と先生3名が参加しました。実習は7班に分かれて行われました。

1日目

まず、今回の実習を始めるにあたっての準備となるような講義を聞きました。これから扱っていく銀河というものを具体的なものを使ってイメージさせようとする講義を皆さん、しっかり聞いていました。その後、記念写真の撮影、シュミット望遠鏡の見学と続きます。望遠鏡見学では、その大きさやドームが動く様子に声を上げて驚く生徒もたくさんいました。望遠鏡の中をのぞく機会もあり、生徒たちは大はしゃぎでした。

望遠鏡見学
望遠鏡見学

教室に戻り少し休憩をはさんだ後、実習Ⅰ『視角を使って距離を求める』を行いました。実習Ⅰはさらに実験Ⅰ・実験Ⅱに分かれていて、実験Ⅰではデジカメとポール、巻尺を使って写真上の1cmが何度かを求め、実験Ⅱでは班毎に班員をデジカメで撮り、各班員までの距離を実験Ⅰで求めた値を用いて算出しました。おそらく初めて聞く・または扱う視角という考えに戸惑いを感じつつも各班とも班員までの距離を求めることが出来ました。実験Ⅰの結果は、前のホワイトボードに各班書いてもらいました。

実習Ⅰ~視角を求めよう~
実習Ⅰ~視角を求めよう~
実習Ⅰの様子
実習Ⅰの様子

また、実習Ⅰの終盤には、班を指名して、ある班にはホワイトボードに書かれた値の各班のズレについて、またある班には、写真に写った班員までの実測距離と視角を用いて算出した距離とをプロットしたグラフについて分かったことを発表してもらいました。

中間発表~どうする?~
中間発表~どうする?~

引き続きまして実習Ⅱ『銀河までの距離を求める』を行いました。この実習では、コンピュータ上の銀河の画像から、実習Ⅰの知識を用いてその銀河までの距離を求めようというものです。まず、距離を求める銀河を任意で選んでもらいます。各班、銀河の画像を印刷し終わったあたりで、いったん実習は打ち切られ夕ご飯を食べました。

実習Ⅱ~銀河までの距離を求めよう~
実習Ⅱ~銀河までの距離を求めよう~
実習Ⅱ~講義~
実習Ⅱ~講義~

その後、小休憩をはさみ実習Ⅱが再開されました。写真上の銀河の大きさを測る時にどっからどこまでが銀河かを考えながら、だいたいの班は順調に作業を進めていました。

そしていよいよ実習Ⅲ『宇宙の年齢を求める』に入ります。銀河の後退速度と距離のグラフを用いて宇宙の年齢を求めていきます。後退速度の表で見落とした部分があると宇宙の年齢が大幅に狂ってしまいます。そんな点に注意しながら実習に取り組みました。しかし、ただ宇宙の年齢を求めただけではこの星の教室の実習は終わりません。自分たちが書いた距離後退速度図からどんなことが分かるのか・自分たちが求めた方法でどうして宇宙の年齢が分かるのかなどなど、考察することはたくさんあります。ここまでくると皆、うんうん悩みながら奮闘していました。活発に議論をする班・何をしたらいいか分からなくなってしまう班など班によってもその様子はさまざまでした。

22時ごろ、1日目の実習は打ち切られ、その後は自由時間となりました。星を眺めに行く子・まだ話し合いを続ける子など、それぞれ自由な時間をすごしました。今回は天候に恵まれ、素晴らしい星空を見ることが出来ました。20cmの望遠鏡を使っての観望会も行われ、夏の星座・秋の星座の星雲や星団を堪能しました。また、流れ星も数多くみられ、流星が流れるたびに大きな歓声をあげて喜ぶ生徒たちはとても印象的でした。

2日目

実習の準備からスタートです。発表はOHPシートも用いて行われます。ただ書くだけではなく、相手に伝わるような内容にしなければなりません。前日にある程度、話がまとまっていた班とそうでない班とで進度に差が出来てしまいましたが、何とかどの班も発表の準備を整えることができました。

そして、いよいよ発表会です。自分たちが学んできたこと・作業してきたこと・考察・疑問に思ったことなどを1班ずつ発表していきました。発表後には質疑応答の時間も設けられ、スタッフだけからではなく先生や生徒からも数多くの質問がなされ、議論は白熱しました。その後、最後のまとめの講義が行われ、最新の天文学が導き出した宇宙年齢や生徒たちが疑問に思ったことへの返答がなされました。講義も全ての答えを伝えるのではなく生徒自身にも各自考えてもらう余韻を残したものでした。その後、お昼ご飯を皆で食べ閉会式そして解散となりました。

発表準備
発表準備

普段、宇宙について皆で真剣に議論しあう機会は滅多にないと思います。そういった意味でも今回の実習は生徒たちにとって意義深いものになったと思います。満天の星空・きれいな天の川・流れ星もきっと生徒たちの記憶に強く残ったと思います。1人でも多くの子が天文学に興味をもっていただけたら幸いです。

集合写真
集合写真

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