第1回サイエンスカフェ in 松江

第 1 回サイエンスカフェ in 松江

日時2006/9/23
場所松江テルサ (島根県松江市)
担当者第 1 回サイエンスカフェ in 松江

松江北高校での出前授業の翌日、松江駅前からすぐの松江テルサにてサイエンスカフェin松江第一回を開催しました。今回は以下の3つの話題(メニュー)で行いました。

テーマ:『社会の中で生きる化学』

スピーカー:大谷陽祐(東京大学大学院理学系研究科化学専攻)

化学というと、一般的に試験管を振って実験しているようなイメージで語られることが多いと思います。しかし、今の社会の中の多くの場面で、そのようなイメージとは違った「化学」の成果が生かされているということを、「発光ダイオード」、「タンパク質の質量分析」、「L-メントールの合成」といったトピックを題材にとり、化学が我々の身の回りのものとどのように関わっているのか、ということをお話しました。来て頂いたお客さんには、そのようなトピックにも興味を持って頂いただけでなく、実際に大学院という場で研究活動に取り組んでいる大学院生の生活や考え方などにも興味を持って頂き、科学全般についてさまざまな質問も飛び交いました。

『社会の中で生きる化学』の一コマ。身近な話題に興味津々です。
『社会の中で生きる化学』の一コマ。身近な話題に興味津々です。

テーマ:『大きいだけじゃない!木星とその周辺環境』

スピーカー:米田瑞生(東北大学理学研究科惑星プラズマ・大気研究センター)

初めてのサイエンスカフェ、私の研究「木星とイオ」のお話をしました。普段、あまりにもなじみの無い惑星、木星のお話にどのくらい興味を持っていただけるか心配でしたが、参加者の皆さんからも積極的に質問・ご指摘をいただき、良いサイエンスカフェだったと思います。普段、学会などでしか研究の話をしないため、寄せられる質問はどれも想定外、サイエンスカフェならではの面白みと言ってよいでしょう。「木星は、いつどの方向に見えますか」という質問をいただきました。ただ空に輝くだけの存在の木星ですが、私のお話を通じて「見てみたい」と思っていただけて大変嬉しく思いました。非常にマイナーな学問であり、このお話をしたところで皆さんの生活が何か変わるわけではありませんが、皆さんの宇宙観・世界観の一端を担うことができれば幸いだと思っています。

『大きいだけじゃない!木星とその周辺環境』の一コマ。「木星はいつ見えるの??」
『大きいだけじゃない!木星とその周辺環境』の一コマ。「木星はいつ見えるの??」

テーマ:『理科離れって、何でしょう? ~科学・日常・社会~』

スピーカー:藤貫直子(慶應義塾大学理工学部生命情報学科)

しばしば話題になる理科離れとはどういうことなのか、データを交えて紹介し、理系と文系の違い、また解決するには?といった話題で話し合いました。会場からは、日本とアメリカでの差異、また一般人が宇宙に行くにはなど幅広い話題で盛り上がりました。

今回は駅前すぐの建物で吹き抜けの空間を利用し、参加者の座り方をスピーカーを中心とした放射状にする、当日参加制を取り入れるなど、開放的なサイエンスカフェを目指しました。カフェは出足はやや鈍かったものの午後から人が集まりだし、地元の高校生や年配の方を中心とした参加者の輪ができました。アンケートの集計ではサイエンスカフェの参加は全員が初めてということでしたが、このように直接研究している人と接することの出来る機会は新鮮に捉えられたようです。特に高校生には、今学んでいる教科の先を垣間見ることで科学の不思議さや面白さを感じ、今後のやる気にも繋がったようです。感想の中には、『“科学”というものの無限の可能性を感じることができた』という意見も見られました。今回は特に、構成として各個人の話す話題に加えて、今の研究テーマに至るまでの経緯や感じている研究の魅力、また大学での生活に触れるなど研究している人自身にも焦点をあてたことで、より身近さを感じてもらえたのではないかと思っています。今回の開催が、今後、松江にサイエンスカフェが根付くきっかけとなれれば幸いです。

「大学ではどんな生活をしているの?」スピーカーの方には普段の研究生活のこともお話してもらいました。
「大学ではどんな生活をしているの?」スピーカーの方には普段の研究生活のこともお話してもらいました。

詳細は以下のサイトでご覧になれます。サイエンスカフェ in 松江

謝辞

本イベントは島根県立松江北高等学校と共催で行い、同校の先生方に多くのご協力をいただきました。厚くお礼申し上げます。

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