第 1 回出前授業 都立青山高校

第 1 回出前授業

日時2004/6/23
場所東京都立青山高校
対象生徒280人,先生10人
担当者二河,山崎

講義内容

宇宙物理学の研究「宇宙物理学の先端を覗く?」,研究室での生活「~物理学科の実験系の研究室を例に~」というタイトルで、出前授業を行いました。

大学進学を希望している皆さんの中には将来はじまる大学生活に大いに期待を持っている人、逆に不安を抱いている人も多いと思います。ではその先のこと、大学卒業後のことを想像してみたことはありますか?就職すると考えている人が多いかもしれませんが、さらに勉強を深めたい人のために『大学院』という場所があるのを知っていますか?

大学院では学生は全員『研究室』というところに所属することになります。実は研究室に所属するのは大学4年生からのところが多いので大学進学を希望している人には身近な話題になります。ここでは実際に僕が研究している内容について少し触れながら研究室での生活を皆さんに紹介したいと思います。

まず研究室というからには研究をしている部屋なわけですが、では部屋の中はどんな様子なのでしょうか?部屋には大きく分けて二種類あり勉強する部屋と実験する部屋があります。勉強する部屋には一人一人大きな机や本棚がもらえます。そこでは勉強をしたり他の研究室のメンバーと話し合ったりします。実験する部屋には2、3メートルほどの巨大な実験装置が所狭しと並べられています。そこでは実験をしたり工作したりしています。

研究している内容について少し話しましょう。皆さん『原子』というものを知っていると思います。水も机も空気も僕らの体も身の回りのものはすべて原子からできています。しかし、原子がどれくらい小さいか想像してみたことはありますか?ここで例え話をしてみましょう。自分の指先の上に小さく縮んだミニ日本列島が乗っかっていると想像してみてください。そこにはもちろん現実の日本と同じように家が建ち、車が走り、そしてミニ人間が生活しています。そのミニ人間の指先の大きさ、それが原子の大きさです。このように原子はとてつもなく小さいものです。

そのとてつもなく小さな原子をピンセットでつまんで動かしたり、たくさんの原子を並べて絵を描いたりすることが現在の科学技術で可能になってきたといったら驚くでしょうか?『ナノテクノロジー』と呼ばれる技術です。新聞や雑誌で聞いたことがある人も多いと思います。数十年後にナノテクノロジーが発達していれば原子を並べて思い通りの薬や材料を組み立てたり、さらには原子で配線を組んだ超小型超高速のコンピューターが実現しているかもしれません。僕たちはそういった未来ナノテクノロジーの基礎となる研究として原子が並んでできたとてつもなく細いチェーンやとてつもなく薄いシートに電気を流すという実験をしています。

普段研究室でしていることはこんな感じです。まず、実験をします。次に得られた実験データを解析します。さらに理論や他の実験と比較します。結果を考察し次にどのような実験をしたらよいか考えます。そして、また実験をします。大体一ヶ月周期ぐらいでこのようなサイクルの生活が続きます。また、研究は一人でできるものではありません。この過程で常に他のメンバーと話し合い、時には助けてもらいます。

研究室に所属すると、年に2,3回ある『学会発表』が最大の楽しみです。学会発表とは日頃の研究の成果をまとめ日本中、世界中の研究者の前で発表する一大イベントです。この授業の前日、僕も浜松の国際会議で発表をしてきたばかりです。サイエンスの共通語は『英語』です。なので発表は英語で行わなければなりません。理系というと英語を使わないというイメージがあるかもしれませんが、実際に英語を使う機会は理系のほうが多いかもしれません。学会発表が終われば今度は発表した内容を『論文』としてまとめなければなりません。このときも『国語』の能力が必要です。

以上、研究室の生活について述べてきました。

質疑応答等

Q:原子は壊せるのですか?
A:壊したいの?壊せますよ。原子の中心には原子核がありその周りに電子がまわっています。なので原子を壊すと原子核と電子になります。

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